祭祀承継と墓じまい

梅雨が明け、夏の日差しが痛いほど眩しい沖縄から投稿します。

先日、ミスタージャイアンツ長島茂雄氏が、享年89歳で逝去されました。
私も子供の頃、まさにON時代を見て育ちましたので、とても悲しい思いです。
心よりご冥福をお祈り申し上げます。

さて、今回は、人の死と弔い方について少し暗いテーマですが書かせていただきます。長らく探偵調査業をしておりますと、お墓探しの調査も経験させていただきました。

・嫁ぎ先で死産をしてしまい。すぐに離縁されてその子の埋葬先も知らない。死ぬ前に母親としてお参りをしたい。

・生き別れだった父母のお墓にお参りをしたい。

・旧友の墓前で報告したい事がある。などお墓探しの理由はたくさんありました。

ところが、最近では、家族の方が「墓じまい」をして、共同墓地施設での樹木葬や合祀供養墓などに入られる方が増えましたのでお墓探しの調査が難しくなりました。

沖縄には「長男信仰」と言われる風習があります。長男がすべての財産と戸主の地位を相続するものです。特に門中(もんちゅう、沖縄方言ではむんちゅうと読みます。)を持つ本家においては、今でも厳しく受け継ぐべきだとされています。これまでは「生家には、跡取りがいるので安心している。門中墓(亀甲墓が原型)の管理や年中行事もちゃんとしてくれている。」そんな門中の親族が多かったと思います。しかし、少子化と核家族が増えたことから、本家の跡取りがいなくなったり、人間関係が壊れてしまい離散してしまう門中も増えているのです。

地域のお寺さんには、過去帳と言われる檀家さんの家系図のような死亡日や戒名まで書かれたものが作成され保管されています。ある寺の御院家の話では、ここ二世代ほどで絶えてしまった家がとても多くなった。と嘆いていらっしゃいました。人情深い島国沖縄でこのような事態になっている事はとても残念に思います。

その上、遺産相続で争う家族も少なくありません。沖縄には軍用地の地主も多く、家長が亡くなった後、法事の時に盗聴器を取り付ける親族の方もいらっしゃいます。遺産分割協議で有利になりたいのでしょうか?このような時に盗聴器発見調査で見つかる事案があります。故人のためにも親族間で遺恨を残すことのないよう円満に解決してもらいたいですね。

自分の死後、相続人がトラブルを起こさないように遺言書での相続財産とは別に、祭祀承継者(お墓や仏壇・神棚等を引き継いでもらう人)を決めておかれることをお勧めします。

法律的には、預貯金や不動産など普通の「相続財産」と祭祀に関わる「祭祀財産」とは、それぞれ別に承継されるものとなっています。

土地などは分割して相続したが、仏壇や神棚を誰が承継するのか、また、お墓を誰が承継するのか、ご遺族の間でトラブルになることがあります。

昨今、無常なことですが、無縁遺骨が増えているとの報道もよく聞きます。

人が亡くなれば、多くの場合は親族が葬儀を行って火葬し、遺骨をお墓に納めます。しかし最近では、身寄りのない人や親族が拒否した人を行政が代わりに火葬し、引き取り手のない遺骨として保管されるケースが多くなっているようです。

・行き倒れなど、身元が分からず亡くなった「行旅死亡人」のケース。

・身元は分かっているが火葬をする親族がいない、または親族が引き取りを拒否しているなどで代わりに自治体が火葬するケース。

・生活保護法の「葬祭扶助」を適用して火葬したケース。(※このケースが全体の8割以上を占めています。)

単身世帯や高齢者が増える中、これまで親族が担ってきた火葬や弔いのあり方まで変化してきています。

「覚えもないまま生まれ出た、この世をいかに去るべきか」詠み方知れずですが、私も同感するようになりました。

毎日を明るく元気に過ごしながら寿命を全うできたらいいですね。

しかし、疑いを持ったままでは、また、人格や尊厳を傷つけられたままでは人生が面白くありません。調査が必要な時は、九州探偵調査業協議会のメンバーにご相談ください。