探偵業法の一部改正について (2024年4月より施行)
新年、明けましておめでとうございます。
昨年は格別のご厚情を賜わり、厚く御礼申し上げます。
本年もご依頼者の方々にご満足いただける調査結果を提供させて戴く所存ですので、宜しくお願いします。
本年は、年明けから能登地震に続き航空機事故、そして北九州市の鳥町食堂街の大規模火災と心休まらない幕開けとなり、被災された方々のご心労に思いを重ね、心よりお見舞い申し上げます。
さて、探偵業界に於いても、改正された探偵業法が本年4月から施行されます。
改正された探偵業法は、デジタル社会の形成を図るための規制改革を推進するためのデジタル社会形成基本法等の一部を改正する法律に伴うものです。
https://www.mhlw.go.jp/hourei/doc/tsuchi/T230711Q0011.pdf
<下記同法より引用>
この法律は、デジタル社会形成基本法に基づくデジタル社会の形成に関する施策とし
て、情報通信技術の進展を踏まえたその効果的な活用のための規制の見直しを推進するため、デジタル社会形成基本法(令和3年法律第 35 号)、情報通信技術を活用した行政の推進等に関する法律(平成 14 年法律第 151 号)等の関係法律について所要の規定の整備を行うものです。
書面掲示規制の見直しに係る個別法の改正の内容
1.標識、利用料金等の掲示の見直しに係る改正関係
…探偵業関連のみ記載…
(43) 探偵業の業務の適正化に関する法律の一部改正関係(改正法第 59 条関係)
ア 公安委員会が探偵業の届出をした者に交付する届出があったことを証する書面は、廃止することとした。(第4条関係)
イ 探偵業者は、内閣府令で定める様式の標識について、電気通信回線に接続して行う自動公衆送信により公衆の閲覧に供しなければならないこととした。
(第 12 条第2項関係)
上記、デジタル社会形成基本法等の一部が改正される事によって、探偵業法の主な改正点は、下記の通りです。
探偵業の業務の適正化に関する法律
〇第四条3(探偵業の届出)
【改正前】
公安委員会は、第一項又は前項の規定による届出(同項の規定による届出にあっては、廃止に係るものを除く)があったときは、内閣府令で定めるところにより、当該届出をした者に対し、届出があったことを証する書面を交付しなければならない。
【改正後】
削除:探偵業届出証明書の発行廃止
― つまり、探偵業開業時に届出を出す警察署から探偵業届出証明書(登録番号が記載された証明書)の発行がなくなると言う事です。
但し、探偵業の届出が不要になるわけではなく手続きは従来どおりです。
〇第八条二(重要事項の説明等)
【改正前】
第四条第三項の書面に記載されている事項
【改正後】
第四条第一項の規定による届出をした公安委員会の名称
※どの都道府県の公安委員会へ届出した探偵業者かを明確にする。
― つまり、従来は重要事項説明書に探偵業届出証明書の内容を記載することになっていましたが、改正後は探偵業届出証明書が無くなる代わりに探偵業を届出した公安委員会の名称を記載することになります。
現在、重要事項説明書内には探偵業届出証明書内に記載されている届出を出した公安委員会の名称が含まれていますので、改めて契約書を作成する必要性はないようです。
〇第十二条2(名簿の備付け等)
【改正前】
探偵業者は、第四条第三項の書面(届出証明書)を営業所の見やすい場所に掲示しなければならない。
【改正後】
探偵業者は、第四条第一項の規定による届出をしたことを示す内閣府令で定める様式の標識について、営業所の見やすい場所に掲示するとともに、その事業の規模が著しく小さい場合その他の内閣府令で定める場合を除き、内閣府令で定めるところにより、電気通信回線に接続して行う自動公衆送信(インターネット)により公衆の閲覧に供しなければならない。
※現在営業所に掲示している届出証明書が廃止となるため、今後は標識を掲示することになります。また、その標識をインターネット上で誰でも閲覧出来るようにしておく必要があります。
〇第十二条3(名簿の備付け等)
【改正前】なし
【改正後】
探偵業者以外の者は、前項の標識又はこれに類似する標識を掲示し、又は電気通信回線に接続して行う自動公衆送信(インターネット)により公衆の閲覧に供してはならない。
― つまり、現在 探偵事務所(営業所)に掲示している探偵業届出証明書の代わりに【標識】を掲示すると共に、同【標識】をインターネット上で誰もが自由に閲覧できるようにしておかなくてはならないと言う事です。
そして、探偵業の届出をしていない探偵業者は【標識】を使用してはいけないという事です。
※【標識】について
標識は公安委員会から発行されるのではなく探偵業者が自ら作成し、記載内容は下
記の項目となっています。
・届出の公安委員会名称
・届出番号
・取り扱う区分(探偵業)
・営業所の名称
・称号、名称または氏名
この標識は古物商の標識に近いものになる様ですが、現時点では探偵業の標識内容は公示されていません。
<警視庁:標識参照>
https://www.keishicho.metro.tokyo.lg.jp/tetsuzuki/kobutsu/youshiki/hyoshiki.html
〇第二十条(罰則)
【改正前】
第二十条 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関し、前三条の違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人又は人に対しても、各本条の罰金刑を科する。
【改正後】
第二十条 第十二条第三項の規定に違反したときは、当該違反行為をした者は、二十万円以下の罰金に処する。
第二十一条 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関し、第十七条から前条までの違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人又は人に対しても、各本条の罰金刑を科する。
― つまり、違反行為を行った者に二十万円以下の罰金刑が科せられると言う事です。
以上が、「探偵業の業務の適正化に関する法律」の一部改正内容となります。
要点を纏めると下記の4点となりますので、改正内容に留意して対応して下さい。
①探偵業届出証明書の発行廃止
②探偵業を届出した公安委員会の名称を記載
③探偵業届出証明書の代わりに【標識】を掲示
④違反行為を行った者に二十万円以下の罰金刑が科せられる
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